浄土真宗の開祖「親鸞」を主人公とし、人間が持つ煩悩や罪業と信仰との葛藤を題材としている。ヒューマニズムで一貫された、純粋な作品。発表直後、当時の青年らに熱狂的に支持され、大ベストセラーになった。明解なストーリーで読みやすい。
書影: 岩波書店
なかなか開かなかった茶箪笥の抽匣(ひきだし)からみつけた銀の匙。伯母さんの無限の愛情に包まれて過ごした日々。少年時代の思い出を中勘助が自伝風に綴ったこの作品には、子ども自身の感情世界が、子どもが感じ体験したままに素直に描き出されている。
人間の醜さ、愚かさを、現実と幻想の狭間で描いた作品。詩的で美しい日本語で書かれており、作品独特の世界観を際立たせている。泉鏡花が初めて著した戯曲であり、近年これを原作とする演劇も上演されている。
「いやな奴」で埋まっている人の世を脱し、「非人情」の人でなしの国に遊ぼうとする画工の物語。西洋化する日本における、漱石による東洋の芸術論や文学論がつづられており、その中で近代の危険性を表現している。
大名人の落語家、三遊亭圓朝により口演された怪談話である。単なる幽霊話ではなく、仇討ちや殺人、母子再開など、多くの出来事が絡み合うドラマとなっている。幽霊より恐ろしい、人間の業が描かれている。
孤独な少年ジョバンニが、友人カムパネルラと銀河鉄道の旅をする物語。作者の独創的な世界観、夢と現実が交錯する幻想世界を描き出す表現力が遺憾なく発揮された、宮沢童話の最高傑作である。
自堕落な青年、杜子春が仙人と出会い、杜子春は仙術を手に入れるために試練を受ける物語。中国の古典を参考に書かれた作品だが、芥川は結末を原作とは大きく改変した。芥川らしい簡潔な筆致で読みやすい。